まいにちのごはんと 天板と お守り


本が出来るまで、その5は、スタイリングのこと。

私は、40歳になろうとするところで、小学生のころから思いながらもあきらめていた料理の仕事に就くことを、突如、あきらめないことにして志した、つまり、年はとってますが、新人。なので料理本(や料理研究家)の世界では知らないことだらけです。それで、最初の本を作る時から、なーんにも考えずに、ごくごく自然に、自分で盛り付け、自分でスタイリングしました。出版社の経費削減?とかもあったのかもしれないけど、私が尊敬してやまない編集者のFさんは、『既視感のない本にしたい。りこさんが作る料理を、いつも使っている器に、自分で盛り付けて、こうしたいというスタイリングで撮影して、本にしましょう。スタイリストはつけないで。それでできる世界観が、既視感のないものになると思う。』と。

ということで、以来、すべての書籍、雑誌、いつも自分でスタイリングしています。なにしろ、料理の撮影には、ほとんどの場合、スタイリストさんがいて、器やカトラリーやクロスは持ってきてくれて、盛り付けもしてくれる・・・と知ったのは、後になってからのこと。スタイリストさんと一緒に仕事をしたことがありません、告白。(やってみたい気も・・・)よくよく考えれば、昔、大好きだった吉本由美さん(スタイリストさん)や、むさぼるように見ていたクニエダヤスエさんとか、そういうお仕事があるのは知っていたわけですが。

さらに、これまでの本は、ほとんどリースをしないで、自分の器やクロス、カトラリーを使って撮影していました。あるいは、条件に合わせて買い集めるか(例えば、パルテノの本はブルーベースに、サンフランシスコで買ったりして集めました。)。

でも、今回は、好きにスタイリングしていい♡とのこと。わーい!ってことで、全体のイメージから考えました。まず、撮影して、そのあとでデザインの方向性を決めていくような順序だったので、できたことかも。

“普段着の日々をそのまま、にしたいな。もし私が自分がしたい暮らしを切り取ったら・・”と考え、たりないものはリースしました。

いちばんこだわったのが天板です。今回は4パターン。よく見ると、わかります、です。

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上の、和風ミックスベジタブルで作るおばあちゃん風の混ぜごはんがのっているものと、昆布締めのカルパチョがのっているのは、お借りした天板。

下の、甘辛とりだんごがのっているのは、うちにある茶箱のふた。祖母が使っていたもので、まあ、りっぱな昔ながらの大きな茶箱です。

トマトがのっているのは、祖父の代に上海航路を渡ってきた・・・というテーブルで、私が親から譲り受けて、リビングで使っているテーブルです。一説には、宿代の代わりに頂いたものだとか。おぬしも悪よのう・・・・ぐあはっは。

ちなみに、前著『かる塩・かる糖料理帖』の表紙はうちのダイニングテーブル@オランダ人です。

今回は8割くらいを、これらの天板で撮影したと思います。

理由は、そうやって毎日食べてもいいかな、と思ったからです。最近は、すてきに見せるためにも、テーブルを汚さないためにも、クロスをかけたりしますが、子供のころは思えば、おっきなテーブルでそのまま食べていたような?お正月やクリスマスや、なにかあるときに、クロスをかけたり折敷を出したりしていたように思います。うちの今の毎日でも、せいぜい、テーブルの真ん中に、私がはじっこを縫っただけの白の麻や綿、ガーゼのクロスをかけたり、伊勢木綿などを載せたり、籐の折敷をおくくらい。このうちのリビングのテーブルには いつのものか、輪染みも。そんな普段着をそのまま・・と思いました。

ただ、茶箱と、祖父のテーブルには別の思いも。

実はいつも、本の中に、必ず、私にとって家族の思い出になっているモノを採用!?しています。

義母から譲り受けた(ほしい~とお願いしてもらった)結婚した時に買ったと言う大皿や、母が縫ってくれた(うちに遊びに来ているときに、懇願(命令?)してやってもらった)クロス、叔母が生前大事にしていた皿やレースのクロス、父の海外土産の花瓶(もらった時はちょっとがっかりした)など。

こういうのは、御守りです。いい本になりますように・・・とそんな気持ちで。他の神様は忙しいでしょうけど、身内は聞いてくれると思うし。

今回は、茶箱とテーブル、この2種の天板が御守りのキング&クイーンでした。

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こちらの最後のページの小皿の中にも、いくつかそんな御守りが。

そして、のこり2割くらいで使ったクロスは、アクセントにと、不自然なくらい?ヴィヴィッドなものと、まいにち家で使っている ふっつーモノをあわせました。

 

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大根に、真っ白で。

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トマトにブラッドオレンジ色を。

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カレーに黄色・・・と、あえてのべたべた、にしてみました。 

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好き・・・と言って下さる方の多い、こちらのポトフは、アンティークの琺瑯鍋に、ウールのヘリンボーンを。

ちょっと真面目な話。これまでは、料理をする人とスタイリングをする人は別が主流だったのかもしれないのですが、私にとっては一緒が自然かなと思います。(最近はそういう方が増えています♪)

市場で素材を選んで、ああ、こんなふうにして食べよう!と思って、そうだ!あれに盛り付けよう・・と思います。逆に、器を見て、わーこれに、あれをこうして盛りたい、のっけたい!!!と思うこともよくあります。さらに、こんな箸で食べたい、こんなクロスで・・・と。そうそう、食卓に小さな草花があったらもっと楽しいなとか。

そんなこともふくめて、毎日の“食べる”なのです。本では、できたら、それを丸ごと、お伝えしたいな~とおもっています。

私にとっては、食べることは、生きることで、おおげさですが、スタイル → 生き方 がいちばん現れるところでは?と。で、何を食べるか、どうやって食べるか?だけではなく、何で食べるか?まで全部含めて、料理だと、ごくごく自然に感じています。

しかも、なにより、器好き、雑貨好き、服も好き・・・スタイリングはものすごく楽しいのです。

とはいえ、撮影のときは、料理もして、スタイリングもして・・・というのは大変でつ、汗。“物理的に大丈夫?”と不安がられることも。そんな時に支えてくれるのが、最強な美人アシスタントチーム。 この話は、次回に。 えーーーっ!!(幻聴??)

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キッチュなプラスチックの皿にちょこんと。サツマイモのレモン煮は、ひと手間、面取りすると可愛く。ゆでて、シロップに漬ける方がぐっとカンタンで美味しいと思います。レモンがしっかり利いているのが、私風。

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