女子シェフをめぐる旅~ヴァランス、アン・ソフィーに会いたくて。


1年経つ前に書こう・・・と思いまして、

去年の!のフランス旅で、

いちばん思い入れもあって、感動もしたPICのことを。

PIC

えっと勝手な思い入れで、

ミシュランの星をもつ女性シェフの店を回っています。

イタリアは★3つは、おふたり。

過去記事はこのあたりで★

そして、フランスは、今、★3つの女性シェフは彼女だけです。

アン・ソフィー。

どうしてもいきたかった、

彼女率いる PICです。

http://www.pic-valence.com/

パリではなく、ヴァランス Valenceにあります。

TGVで行くことができるし、

すばらしいオーベルジュ(というかホテル単独で考えても素敵ですが)なので、

1泊で行くことをおすすめします。

1889年創業の老舗レストラン、

ミシュラン常連で3ツ星の下に

生まれた彼女は

シェフになるべきか?迷っていた・・・。

日本に半年、アメリカ、NYなどにも1年?

学びながらも、自分がどんな料理をすべきか?

それは生家でなのか?

と・・・。

しかし、さまざまな経験を経て、

30歳になろうという時、

実家であるPICに戻る決心をし、

つまり家をつぐ決心をし、

故郷ヴァランスの、PICの厨房に入るのでした。

しかし・・・。

これから教えを乞うべき

経営者であり、

シェフであり、

父であるその人は、

なんとそれから約半年ほどで、帰らぬ人になってしまう・・・。

若き、彼女は途方にくれます。

オーナーを失い、

師を失い、

血族の柱を失い、

最愛の父を失った、しかも、

まだなにも学んでいない・・・と。

そして、★も失う。

そこから、彼女のシェフとしての、

そして経営者としての、

おそらく、想像を絶するような過酷な旅が始まったのだと思います。

たぶん、彼女が娘だったということも、

過酷さを増す要因だった気もします。

それは、例えば、イタリアのダルぺスカト―レやアリソリッゾのシェフが、

1代で、それもイタリアのイタリア料理店として★を三つもらったのとは全く違う、

プレッシャーと、 ジレンマと、 自分との闘いと、

あらゆる喜びと苦悩が一度に押し寄せるようなことだったんじゃないかな。

なんて。

ミシュラン本

PICにたどり着くと

まずレセプションの横に、

これまでのミシュランがずらり。

普段は、ミシュランがなに?と思うことはあっても、

ここはフランス。

そして、 パリではない、リヨンでもないこの街で、

1934年から

3★を獲得し続けたフランスのフレンチレストランの誇りを感じるのです。

父とともに、

これを失うこと、

下手したら坂を転がり、

2度と取り戻せなくなることの恐怖。

きっとあったと思います。

しかし・・・いやそして、彼女は

長いトンネルをぬけて(他から見るとすぐにだけど、)

みずから3★を獲得し、

PICをよみがえらせ・・というより、

あらたな、 21世紀の歴史にも確実に残るレストランにしてしまうのです。

ということで、

どうしてもいきたかった、

会ってみたかったのです。

ヴァランスは、PIC以外は何もないような街・・・というと語弊がありますが、

山の上とかではなく、風光明美でもなく、

周りは、アパートメントや

近代的だけど小さな特徴のないスーパーがあって・・・というところ。

街には高齢の方が多いな、という感想を持ちました。

しかし、PICの中は別世界。

ホテルは完璧な5スターです。

この空間からすべては食事に、

至福につながっているから・・とのこと。

ホテル

各部屋に、中庭を見下ろす、

広めのテラスが。

エクレア

ウエルカムに、

登場したエクレアと

シャンパン。

ほんと、

あがりました・・・泣。

階段やバーや、

レストランへ向かう廊下には、

シェフコートや、これまでの写真、

そして新しいPICの象徴である

アンのクール!な写真などなど。

もしも許されるならば、

2泊くらいして、籠りたい・・・と切望しました。

(切望が、2泊かい、汗)

そして、待望のディナー。

ダイニングは、

シックながら、バカラとスタルクです。

モダン具合がちょうどいい感じですが、

パリのグランメゾン以上に、グランメゾンっぽい。

テイストは、すごくNYっぽかった。

アミューズ

ディナー

お料理は、とにかく、

食べなければはじまらない・・のですが。

本当にすばらしかったです。

モダンでライトなフレンチは

ライトすぎたり、

食べ応えがなかったり、

かえって印象に何も残らなかったりして、

ちょっとどうかな?と最近思っていたのですが、

しっかりしたポーションに、

具体的な表現で、

パンチもある味で、

とてもバランスがいいと思いました。

いつも同じことばかり書いてしまうのですが、

海老は、しっかり海老、

ラムはしっかりラム、

それは、どんなにテク二―クを魅せたくても、

はずせないところなのです。

ピックグラス

ところで・・・実は、

肝心な相方くんは、この日、旅行中でもっとも体調が悪く、

風邪のピークでした。

(今は笑えますが・・・いやはや、かなりかわいそうだった)

なので、私の半分も楽しめなかったと思います。

そんな彼が、

ダイニングで、サービスの方に、

実は風邪で・・・と話したところ、

じゃ、こういうのはどう?と軽めのメニューを奨めてくれ、

さらに、少し早めに席を立つと、

アン・ソフィー本人が登場し、

『大丈夫?アスピリンとか持ってる?』と・・・

それはまるで母のようでした。

さらには、部屋にハーブティが届けられ・・・泣。

ああ、愛する家族にするように、普通に、サービスを。

このときもまた、そんなことを考えました。

アンソフィー

そして翌朝、

なんとまたアンに会うことができたのです。

彼女の話・・・それはそれは興味深いものでした。

多くが男性が継ぐフランスの老舗世界で、

女性であることで大変だった?と聞く私に、以下の様な事を。

自分は、はじめ性別を超えた存在で、

とにかく完璧主義者だった。

すべての料理に最後まですみずみまで自分が直接手をかけなければ気が済まず、

料理だけではなく、

あらゆることを私がやろうとしていて、

ぴりぴりしていて、イライラしていて・・。

それが、結婚して少し変わった。少し大きな目で見れるようになり、

ある部分は人に任せることもできるようになった。

さらに子供を産んで大きく変わった。

人を、許すことができるようになった。

厨房でも、そのほかの場所でも。

今は自分が母であること、妻であること、女性であることが、

自分の料理を支え、作っていると感じている・・。

そしてこの話をするときも、

相方の体調を気遣い、

優しく、変な言い方だけど、ものすごく真摯で低姿勢で・・・。

彼女の温かさと、

自分に厳しい人だけに与えられる

健やかな自信と、

力を感じました。

で・・・私、

ほんとにずうずうしさ100万倍で

彼女に拙著をお渡ししましたところ・・・汗。

彼女から彼女のすばらしい本をいただきました。↑サイン中。

しかもサインまで。

超小海老で → 最高の天然の鯛!です。

感謝。

もちろん、素晴らしい才能が伝授されますように・・・という願かけの握手もしていただきました。

バランス

母なる気持ちで、

人に任せたり、許したり、

チームで作り上げることを芯から楽しめるようになったという、

そのことの具現化?なのか。

彼女は去年5月、パリにビストロをオープンし、

スイスにもPICの初の支店をオープンしました。

料理の世界が、やっぱり女子に厳しいのは、

フランスと日本じゃないかな~と私は思っています。

今、料理と言えば出てくる

世界2大大国ですよね。

たぶん、日本料理はもっともきつい。

例えば、吉兆(嵐山)の次を・・たとえ長女でも継げないのではないかな。

でも、フランスでも誰にでもできるわけではない。

最近、女性で多くの人をひっぱるリーダーを観ていると

なにかある・・・と思うのです。

なんだろう・・・しなやかさなのかな。

母の大きな心?

そこに、自分に徹底してキビシイ、

いかにも女性らしい部分からくる、

自信みたいなものがプラスされてるのかな。

さて・・・相方は超風邪だったため、

再訪を誓ってしております。

しめしめ・・よかった。

なんとしても、また行きたいと思います。

PIC

http://www.pic-valence.com/