レシピを追いかけるのはやめない?真逆な企画が通るって?『明日から、料理上手』ができるまで。 その2


こんな読みものな本・・・売れないだろうな~出版社となによりも、この本を出すと決めてくれた編集長に迷惑をかけちゃうかな?と思っていました。

『明日から、料理上手』ができるまでのことを、老後の楽しみに書いています。

そうなんです・・・この無謀とも思える本に 出版GOが出たのも、奇跡なんじゃないかと、実は思っていました。

発端は、前回も書きましたが、私がいつも思っていたこと。世の中にレシピはあふれているけれど、レシピの数をこなしても、料理上手にはならないのではないかい? いや、料理好きにはならないのではないか?という思いでした。

『 “レシピをつくる” のではなく、出合った食材で食べたいものを自在につくる楽しさが待っています 』と はじめに書きました。 

なす、おいしそー! もうトウモロコシが! そんなわくわくが、食卓に上ればいい。それをサポートするためにレシピをいろいろご紹介しているのですが、いつのまにか、レシピをつくる人が増えている気がして。

 これをつくろう!と思って買い物に行くと、その材料だけを追いかけてしまって、 『おいしいよ!買って買って~』という旬の食材の声が聞こえない。旬がある野菜や魚だけでなく、肉も、今日の切り方おいしそーでしょ? 疲れてるから肉でパワーつけない?なんて声を発しています。

それが聞こえるかどうかは、自分がいつも身体の声を聞いているか?家族の状態を見ているか?ってことでもあります。 スカして考えなくても、無性に肉食べたいとか?野菜がいる~とか、さっぱりした酢のものがいいとか、ありますよね?そんな時、レシピがいらない人になれるっていうのが、いいんじゃないかな?と思うのです。

家庭料理は、家族の健康を支える料理であるところが、外食と違うところ。なにしろ、食べたもので身体はできています。そこでバランスすることも大事になってきます。

また、子供が、夫が、食をどうとらえるか?食への価値観を決めちゃう場でもあり。 めっちゃ好きな彼女との初デートに、ファミレスに連れて行く息子になるかどうか?ってなことにかかわってきます(ファミレスも、いい時は、いいんですけどね!)。

そのあたりも考えながら、おいしそうな野菜や魚や肉を見て、その日に食べたい物をつくる!

そういう、私が思う料理上手になるには????

まず、私は、好きこそものの上手なれ・・・を信じていますから、だからまずは、料理が好きにならんとはじまらん。好きな人は、まあおしなべて、料理上手と。 

で、好きになるにはどうしたらいいのか? 好きになった上で、どうしたらいいのか?そんなことを、私なりに伝えたいなと思っていました。

実際、100品くらいが、自分なりにおいしくできたら、家庭料理には充分で、料理も楽しいはずです。

100品ってすごい?と思うなかれ、汁もの20品、メイン的なおかず40品、サラダや和え物など20品、ごはん系10品、その他10品くらい。白いごはんも、味噌汁も、野菜炒めも、生姜焼きも入れて100品。 その100品のベースになるのは、10品くらいかな。 

10品をコツもわかって、どこがはしょっちゃならない大事なところかがわかって作れたら、気づいたら100品できるようになっている・・・と。

でもね、そんなことを、レシピ本に書くのは難しいわけです。レシピ本を出し、雑誌にも掲載している自分としても、まったくもって矛盾していると言われそうな気もしていました。

あるとき、T編集長にこんな話をしました。私の教室での話です。

『例えば、その日のメニューに、きゅうりの酢の物と、ポテトサラダがあったとして、実はこのふたつでは、同じ“きゅうりの塩もみ”をやります、どっちもこれがしっかりできていないと、美味しくならない。一見、まったく違うメニューですが、大事&共通している下ごしらえのひと手間があるんですよ~、で、教室では、ふたつのメニューで、同じことをやりますよ、と言って、あえて、ゴールが違うけど、同じひと手間をしつこくやって、大事さを知ってもらうようにしているんです。」 と。

フライパンが冷たいうちから焼き始めることが共通している肉料理の話や、血の臭みを抜く、が共通する肉と魚の料理の話など、いくつかの例をあげてお話ししました。そして、こういうコツや、はずせないひと手間は、10皿くらいの料理に集約できると思っている・・・だから、それをくりかえしやると、気づいたら100品、できるようになっているはずなんだと。

そうしたら、「おもしろいんじゃない?」と予想外の反応が返ってきたのです♡ 山脇が教室で伝えているコツを10皿に集約したらいけるかも?

「なにしろ、伝えたいことがあるんでしょ?それが強いのがとても大事。」と。

世は、レシピの数の多さを競うような料理本が花盛り。(私も、だしています!『うちのごはん、ヒットパレード125』とか) さらには、カンタン、レシピは短い!が重要視されていて・・・まさに逆行している?と思っていたので、正直、驚き、感激しました。

そこから、これを形にすべく、ディスカッションの日々、試行錯誤が始まりました。幸せなことです。

常々、思うのです。ものを作るとき、2通りの人(考え方かな)がいると。 これまで誰もつくっていないものをつくろう!と思うタイプと、 多くの人に愛されているものをつくり(流行っているモノとか、ね。)、ニーズに応えようと思うタイプ。 

私は仕事では、どちらもありだと思っています。どちらも否定しない。 いずれでも、ヒットが生まれます。 ただ、個人的には、私らしいもの=他とは違うものを作りたい と思っています。 まだ見ぬものを作りたいとは、ちょっと違うかもしれませんが、限りなくそれに近い感覚です。 

ハイブリッドでサプライズがあって・・と、料理でそこを追求し続けるのは嫌ですが、求められているものに合わせるより、私はこう思う、どうでしょう?と、提案し続けたい。 私の最初の本の編集者Fさんは、初めて会った時、 「既視感のない本にしたい」 とおっしゃいました。 それがとても印象に残っています。 自分も、そうしたかったから。 そしてそれは、売るためとかではなく、 どうしても伝えたいことがあるから、一番伝わる方法で・・・と思い、結果がそうなる、ってことだと思っています。

今回、私の中の強い思い=伝えたいことを理解して頂き、ある意味、そこに賭けてみよう、と思って下さったのかな、と思いました。どういうでき上がりになるのか?本屋さんでどこに並べられるのか?(実際、アマゾンでは、最初の1週間、自動的にカテゴライズされなかった・・)それが具体的にイメージしにくい本です。あまけに、私の、書く力も未知数。

たぶん、とても太っ腹な?大きな?腹のくくり方をしてくださったのだと思います。

結果・・・「原稿がなかなか、上がってこなくて(私が書かなくて)、仕事の夢とかあまり見ないんだけど、夢に見てうなされた。」(BY T編集長)というような時期もあり、 校了前の最後の1週間は、3回、小学館でてっぺんを回り夜中に。あげくのはては、デザイナーさんのお宅までおしかけて、喧々諤々、2ミリ下げる?とか、1行に20文字か?22文字か?なんてことまで・・・。

なにより思い出深い、校了(これでもう直さない、OK!を出す日)の日は、12月24日の夜中。 編集長とふたりで、ウエストのショートケーキを食べながら、小学館のコクヨの机で、赤ペンもって、メリークリスマス♡  相方は、まさかの結婚以来初のクリボッチ・・・笑。

それでも、私はあけて25日の3時過ぎに帰路につきました。

その時、寒い中、小学館のビルの1階まで送ってくれたT編集長の、すてきな Johnstons(ジョンストンズ)のストール姿は一生忘れないと思います。(それから、朝の8時過ぎまで校了作業をされたそう、ほんっと、ずびばせんっ。)

こうして、最初の話から、1年近くをかけて生まれた本。 長くて半年?3ヶ月とかで世に出す本が多い中で、ほんとうにありがたいな~と思っています。

私達の手を離れて、今、多くの方に手にして頂けたら・・とねがっています。

『明日から、料理上手』(小学館)

http://www.amazon.co.jp/dp/4093108420/

次回は、デザインと写真のことも。

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